国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

現代世界の呪術――文化人類学的探究  2020年5月30日刊行

川田牧人・白川千尋・飯田卓(編)

春風社
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

現代世界で展開する呪術的実践に着目し、それらが日常からたち上がるようすを分析する。合理性、コミュニケーション、感覚/マテリアリティといった視座をとおして、同時代人の営みとしての呪術に接近する。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

呪術研究は、いわゆる未開社会の事象を分析するなかで発展してきた分野です。しかし現代世界でも、国際人口移動や医療、政治、マスメディア、スポーツなどの問題に、呪術は深く関わっています。世界をあたらしい角度から見るための教本としてもお使いいただけます。

目次

総論
序論 現代世界において呪術を問うこと(川田牧人)
第1章 偶然と必然を結ぶ妖術――アフリカにおける妖術的現実の存在様相(近藤英俊)
第Ⅰ部 多元的知識実践環境における合理性の再検討
第2章 呪術・宗教・科学を再考する――あるいは呪術における非合理性(中村 潔)
第3章 呪術が禁止されるとき――インドにおける合理主義運動がもたらす迷信としての呪術(松尾瑞穂)
第4章 カザフスタンにおける伝統医療とエムシ(治療者)の活動(藤本透子)
第5章 動物磁気術と催眠術の近代――科学と呪術のはざまにおける実践=知の誕生の素描(島薗洋介)
第Ⅱ部 呪術とコミュニケーション
第6章 ベナンにおけるブードゥのメディア転回(田中正隆)
第7章 恐れを通じた干渉――ガーナ南部における挨拶、遊び、王権闘争(浜田明範)
第8章 すべてははじめからわかっていた――東南アジア大陸部山地民ラフの呪術と動物(片岡 樹)
第9章 「フェティッシュ」を飼い馴らす(中川 敏)
第Ⅲ部 感覚とマテリアリティの呪術論
第10章 感覚・マテリアリティ・言葉――ヴァヌアツにおける邪術と科学の関係を起点として(白川千尋)
第11章 西欧近世の魔女信仰における感覚・実践・マテリアリティ(黒川正剛)
第12章 不可視を「見る」、不可解を「語る」――東北タイにおける呪術と感覚経験(津村文彦)
第13章 妖術師の生成するところ――ベナンの新宗教の実践における身体・情動・マテリアリティ(村津 蘭)
第14章 あるはずのないものへの疑念――北タイにおける呪術と情動(飯田淳子)
第15章 経験されざるものを知る――マダガスカル漁撈民ヴェズにおける霊と呪術のリアリティ(飯田 卓)
あとがき  (飯田卓・白川千尋)