研究スタッフ便り 蘭語学ことはじめ
5月(1) いまどきのオランダ料理
いいレストランを教えてくれない?といわれて身をのりだす人はたくさんいるが、「で、何料理が食べたいの?」と聞かれて、「オランダ料理」と言うと、突然、そこで沈黙が訪れてしまう。そんな間違いを何度か繰り返してやっと気付いた。オランダ料理とは、イコール家庭で食べるもの。レストランで食べるものではないのだ。
こちらではサンドイッチやトースティのような軽い昼食が一般的、という話は前にもしたが、夕食の方は一般的には6時半ごろと早いそうだ。いわく「オランダではお昼が軽いからおなかがもたないし、そもそも寝る直前にしっかりした食事をたべると消化に悪いじゃない」。これはもちろん、昼食が「ディナー」、つまり一日の主菜で、夕食がサラダなどの軽食、というフランスなどの食習慣を念頭においての発言。メニューはマッシュポテト(stampot)やゆでたジャガイモに野菜が定番、日によっては肉(vlees, 英 flesh)か魚(vis, 英 fish)を少々、というのが典型的な夕食メニューなのだとか。
その一方で、オランダの人たちは、いろいろな各国料理を楽しんでいるような印象も私はもっている。オランダのインドネシア料理店はどこにいってもおいしい、と評判だが、中華料理はもちろん、タイ料理、スペイン料理、ギリシャ料理、西アフリカ料理、アルゼンチン料理、はてはスリナム料理などと街中には目がまわりそうになるくらいさまざまなレストランが並んでいるし、そんなに大きくないスーパーでもインドネシアをはじめ東南アジアや中華料理の素材がいろいろ買えて、「寿司キット」というのまで売っている。
この間も、オランダ人の同僚宅に招かれて「日本酒あるからもっていくよ~」といったら、じゃ、寿司パーティーにしよう、ということになった。行ってみたら「まきす」から酢飯から、全部用意してあって、「日本の人はもっとエレガントにするんでしょうけど」と言い訳しながらも、私が一本巻いてみせたあと、いろいろな国籍のゲストが入れ替わり立ち代り、巻き寿司をつくってみて楽しんでいた。私にとっても海外で寿司をつくるのははじめての経験で楽しかった。にぎり寿司は、小さなプラスチックのケースにご飯をつめて四角い形にしたものに魚をぺたぺた乗せていく。そういえば日本でも昔、プラスチックのおにぎりケースみたいなのが売ってたこともあったような・・・。魚は生食用を売っている魚屋さんに特別に買いに行ったそうだ。友人宅はライデンよりうんと都会のハーグにあるので、買い物の選択肢も広いようだ。台湾出身の同僚がどこからか味つけ済み、即使用可の「あげ」のパックを買ってきて、いなりずしまで登場。(ちなみにあげのパックは日本製。いわれてみたらどこかで見たことがあるような記憶も。)
さて。こちらにきてからの毎日の夕食、現地素材をつかっての料理もなんだかパターン化してきてしまったなぁ・・・と思っていたある日、スーパーで無料配布の雑誌をなんとなく手にとってびっくり。月曜日から金曜日までの「おすすめメニュー」が載っている。それだけなら別に珍しくはないが、なんと、その素材を全部網羅した「一週間のお買い物リスト」と合計金額までついているではないか。しかも、ちゃんと野菜、肉・・・とわかれているから、それにしたがえばスーパーの入り口から出口まで直線で(いったりきたりせずに)すませることができ、今週の食事のプランはこれでOK!というふうにできている。(うーん、商売うまいな~。)これならやってみてもいいか、というより、頭を使わない分だけ楽!というわけで、つくってみました、オランダのスーパーおすすめ今週の夕食メニュー。なお、日本とちがって一皿だけで一食になるので、メニューは5つしかありません。(分量はそれぞれ四人分。)
(なお、このレシピはスーパーのホームページにも写真つきで出ています。それぞれのリンクをクリックすると写真とオランダ語のレシピが見られます。)
豚肉を焼き色がつくまでいため、そこにマッシュルーム、赤たまねぎを加えてさらに数分間さっと炒める。マスタードとタイムをまぶし、塩・こしょうで味をととのえる。これを皿に盛って周りにトマトを飾ったミックスサラダの上にのせる。イタリアン・パセリをふりかけて出来上がり。お好みのパンを添えて。簡単でおいしい!
<素材についてのおしゃべり>
日本ではあまりなじみがなく、あっても高くてとても手がでないサラダ・ミックス。こちらではこれでもか、というくらいいろいろな組み合わせのものが売っています。気になるお値段の方も、人数の少ない家庭なら下手に野菜をまるまる買うより安いくらい。さらに、単品の野菜パックも種類が豊富で、versla 「マーシュ」、waterkers 「クレソン」、spinazie 「ほうれん草」(火曜日のレシピに登場)などなど、これもすべて「洗浄済み」、そのままお皿に盛って食べられます。
ミックス・サラダの名前に出てくる eikenbladsla というのはレタスの一種。レタスもたくさん種類があります。kropsla, rode sla, frisbi, lollo bionda, lollo rosa, eikenbladsla, ijsbergsla, frillice, batavia, romeinse sla, andijvie, krulandijvie, radicchio, veldsla, botersla…
サラダ同様、調理用の刻み野菜のパックもこれまたすごい数があります。スープ用、炒め物用、さらにはやきそば用、いう区別だけでなく、「タイ風」「フランス・プロバンス風」「日本風(次回登場、ご期待!)」「中華風」「マカロニ(パスタ)用」・・・・と延々と続き、それぞれ入っている野菜の種類が違う。肉も、細切になっていたり、角切りになったりしている。要するに、切ったり刻んだりする手間をかけずにすむようになっているので、上のメニューもオランダでつくれば、炒める時間のみで10分かからず。日本では、加工したものは極端に値段が高く、こういう素材を日常的に利用する、ということはちょっと考えられませんが、こちらでは一家の人数が少ないと結局このほうが安いし、時間の節約にもなって重宝。私たちの借りているアパートは冷蔵庫が50リットルと小さいので、かさばらずにいろいろな野菜が手に入れられるのもとっても助かっています。
たまねぎを炒め、色がつくまえに、ほうれん草を数回にわけて加えていためる。パスタをパックの指示にしたがってゆでる。にんにく、オレガノ、塩、こしょう、ヨーグルトをまぜる。これを炒めたほうれん草にまわしかけ、二分間温まる程度に火をとおす。パスタとほうれん草を皿に盛り、くるみを飾ってできあがり。
<素材についてのおしゃべり>
日本でも最近よく使われるようになってきた赤たまねぎ(rode ui = 英 red onion)、こちらのレシピでも、炒め物にサラダにと大活躍。辛くないので、水にさらさなくてもそのまま食べられます。新たまねぎは zachte ui (= 英 soft/mild onion) 「辛くないたまねぎ」の名の通り、こちらは水にさらさずに食べてもOK。ピクルスなどにもつかわれる小たまねぎは sjallot(en) (英 shallot)。「エシャロット」を想像して探し回ったのに見つからず、ついにスーパーのお兄さんに尋ねるはめに。日本語でエシャロットと呼ばれるものは「根らっきょう」という違う種類の野菜なのだそうです。50年ほど前にはじめて日本で売り出すとき、おしゃれな名前にしなくては売れない!ということで、当時はまだ日本には入っていなかった小たまねぎのフランス語名をとったのだとか。
七面鳥肉を薄いこげ色がつくまでいため、さらに小たまねぎとチリを加えて一分間炒める。水を1リットルと固形スープを加え、沸騰させる。ジャガイモを加えて10分、にんじんを加えてさらに5分火を通す。(ここで一端冷まして味を落ち着かせるとよりおいしくなる―報告者オリジナル。)最後に、葉やさいをくわえてスープ皿、もしくはボールによそいわけ、ミントとパセリをちらしてできあがり。新鮮なミントの味が意外なおいしさを添えてくれます。
<素材についてのおしゃべり>
葉やさい・・・ paksoi、英語で silverbeets と呼んでいる、茎が白くて葉がとても濃い緑の、白菜がおおきくワイルドになったような感じの野菜です。最近では日本でもときどき目にするようになりましたが・・・。日本語の名前がわかったら報告します。白菜や青梗菜で代用してもおいしいかも。
kriel(tjes)・・・ 春に収穫される小さいじゃがいも。言われてみれば確かに、ここのところずっと、チェリートマトくらいの大きさのジャガイモが店にならんでいる・・・
にんじん。にんじんも、bospeen, winterpeen, wortel, winterwortel・・・ と並びます。ピーターラビットがかかえている細い葉つきにんじんも、ちゃんと売っています!
オーブンを170℃に熱しておく。たらの切り身にレモン汁の半分をふりかけ、さらに塩・こしょうで味付けする。その上に薄切りにしたズッキーニをのせ、チーズを降りかける。オーブンに入れて30分、焼く。
のこりのレモン汁とレモンの皮の削ったもの、ディルをオリーブオイル2さじと一緒に火にかける。沸騰したら、普通に炊いたご飯にまぶして、さましておく。トマトはたてに薄切りにし、ケイパー、ケイパーの漬け汁小さじ1、オリーブオイル小さじ2、塩、とまぶし、塩、こしょうで味を調える。魚に火が通ったら、平皿に、レモンライス、トマトサラダ、たらのチーズ焼きを盛る。
これもお味は◎。でも、レモンで味つけしたご飯は、日本では人によっては好き嫌いがあるかもしれません。
<素材についてのおしゃべり>
一般的にスーパーで買える魚の種類はあまり多くない。ここで出てくる kabeljaw というのは「たら」、ほかには zalm 「サーモン」, paling 「うなぎ」, haring 「にしん」, tonijn 「まぐろ」、tong 「舌ひらめ」、うーん、それくらいかなぁ。冷凍でも似たようなものです。ただし、市場に行くとカレイとひらめの種類はそれぞれものすごく多くてびっくり。
米 (rijst) の種類はたくさんあります。日本だと同じ丸いお米のなかに産地によっていろいろ名前がありますが、米の種類そのものがそもそもいろいろある。興味がある方は、以下のページも参考にしてください。説明は残念ながらオランダ語だけですが、いろいろな米の写真がみられて、興味のある方にはそれだけでも結構楽しめると思いますよ!
http://www.dekooktips.com/warenkennis/graan-rijst/rijst-soort.htm
長いお米は、沸騰したたっぷりのお湯に入れてそのまま8分ほどふっとうさせ、湯を切ったあと蓋をして10分ほど鍋のなかでねかせると、おいしくでき上がることを発見!日本では想像もできない米の調理法ですね。沸騰中にかき混ぜるとさらにおいしくできあがるお米もあります。
マヨネーズとサワークリーム、チキン、たまねぎ、にんじんを混ぜて、塩・こしょうで味付けする。アボカドを細ぎりにしてライム汁をまぶす。ねぎは縦半分に切って適当な長さに切る。トルティーリャの皮を暖めて素材を包む。
<素材についてのおしゃべり>
スモークチキン。いわれてはじめて売っていることに気がついた。しかも、チキンの胸肉同様、パックに入って売っている。(色がすこし濃くて少し縮んでいますが、あとは生の胸肉パックとまったく同じにみえます。)オランダの燻製品は、味がしっかりしていてとてもおいしい。スモークチーズ、スモークサーモン、スモークパーリン(うなぎ)、スモークさば、といろいろ。
レシピには、アボカドが熟しているかどうかの見分け方も載っていました。日本では色でみわけることになっていますが、オランダではおへそを押してみて軽く動くようなら食べごろ、なのだそうです。メロンはお尻を押してみて食べごろかどうかを判断しますが、アボカドは頭を押すというわけね。
参考文献
AllerHande: het tijdschrift van Albert Heijn. no. 5 -2007.
http://www.ah.nl/allerhande/
<付記>
白アスパラガスの季節です。これでもか、というくらい、あちらこちらに白アスパラが売っています。フランスではじめて白アスパラガスをみたときに買ってきて大失敗したことがあるので、今回はちゃんと調理法を調べてみました。
白アスパラガスは緑のアスパラガスとちがって皮が繊維質で硬いので、まず、頭のさきを除くほとんど全体をピーラーでむきます。そして根のほうから3-4cmを切り落としたものを、7分ほどゆで、さらにそのままお湯に10分ほどつけたままにする、ということ。知っていれば何でもないことなのですけれどね。ゆでるときには、塩、砂糖、それにハーブの一種 (foelie, 英 mace) をいれることになっていますが、何も入れなくてもおいしく茹で上がります。日本でも最近、大手のスーパーでみかけるようになったので試してみてください。ゆでたアスパラガスは、そのままバターソースで、またはハムやポテトなどといっしょに温製サラダにしてもおいしいですよ~。
こちらではサンドイッチやトースティのような軽い昼食が一般的、という話は前にもしたが、夕食の方は一般的には6時半ごろと早いそうだ。いわく「オランダではお昼が軽いからおなかがもたないし、そもそも寝る直前にしっかりした食事をたべると消化に悪いじゃない」。これはもちろん、昼食が「ディナー」、つまり一日の主菜で、夕食がサラダなどの軽食、というフランスなどの食習慣を念頭においての発言。メニューはマッシュポテト(stampot)やゆでたジャガイモに野菜が定番、日によっては肉(vlees, 英 flesh)か魚(vis, 英 fish)を少々、というのが典型的な夕食メニューなのだとか。
その一方で、オランダの人たちは、いろいろな各国料理を楽しんでいるような印象も私はもっている。オランダのインドネシア料理店はどこにいってもおいしい、と評判だが、中華料理はもちろん、タイ料理、スペイン料理、ギリシャ料理、西アフリカ料理、アルゼンチン料理、はてはスリナム料理などと街中には目がまわりそうになるくらいさまざまなレストランが並んでいるし、そんなに大きくないスーパーでもインドネシアをはじめ東南アジアや中華料理の素材がいろいろ買えて、「寿司キット」というのまで売っている。
この間も、オランダ人の同僚宅に招かれて「日本酒あるからもっていくよ~」といったら、じゃ、寿司パーティーにしよう、ということになった。行ってみたら「まきす」から酢飯から、全部用意してあって、「日本の人はもっとエレガントにするんでしょうけど」と言い訳しながらも、私が一本巻いてみせたあと、いろいろな国籍のゲストが入れ替わり立ち代り、巻き寿司をつくってみて楽しんでいた。私にとっても海外で寿司をつくるのははじめての経験で楽しかった。にぎり寿司は、小さなプラスチックのケースにご飯をつめて四角い形にしたものに魚をぺたぺた乗せていく。そういえば日本でも昔、プラスチックのおにぎりケースみたいなのが売ってたこともあったような・・・。魚は生食用を売っている魚屋さんに特別に買いに行ったそうだ。友人宅はライデンよりうんと都会のハーグにあるので、買い物の選択肢も広いようだ。台湾出身の同僚がどこからか味つけ済み、即使用可の「あげ」のパックを買ってきて、いなりずしまで登場。(ちなみにあげのパックは日本製。いわれてみたらどこかで見たことがあるような記憶も。)
さて。こちらにきてからの毎日の夕食、現地素材をつかっての料理もなんだかパターン化してきてしまったなぁ・・・と思っていたある日、スーパーで無料配布の雑誌をなんとなく手にとってびっくり。月曜日から金曜日までの「おすすめメニュー」が載っている。それだけなら別に珍しくはないが、なんと、その素材を全部網羅した「一週間のお買い物リスト」と合計金額までついているではないか。しかも、ちゃんと野菜、肉・・・とわかれているから、それにしたがえばスーパーの入り口から出口まで直線で(いったりきたりせずに)すませることができ、今週の食事のプランはこれでOK!というふうにできている。(うーん、商売うまいな~。)これならやってみてもいいか、というより、頭を使わない分だけ楽!というわけで、つくってみました、オランダのスーパーおすすめ今週の夕食メニュー。なお、日本とちがって一皿だけで一食になるので、メニューは5つしかありません。(分量はそれぞれ四人分。)
(なお、このレシピはスーパーのホームページにも写真つきで出ています。それぞれのリンクをクリックすると写真とオランダ語のレシピが見られます。)
月曜日 | オランダ地方風お食事サラダ |
Maandag | Hollandse maaltijdsalade |
http://www.ah.nl/snel_op_tafel/recept.jsp?protein_source=vlees&id=431310&page=2 | |
2 el olijfolie | オリーブオイル 大さじ2 |
300 g varkensreepjes naturel | 細切の豚肉(味つきでないもの) 300g |
2 rode uien, in ringen | 赤たまねぎ(輪切り) 2個分 |
250 g champignons, in kwarten | マッシュルーム(四つ切り) 250g |
1 tl tijm | タイム(乾燥) 小さじ1 |
2 el mosterd | マスタード 大さじ2 |
1 zak eikenbladsla melange (100g) | ミックス・サラダ 1パック |
2 trostomaten, in partjes | (ツルつき)トマト(くし切り) 2個 |
2 el peterselie, fijngesneden | こまかくきざんだイタリアン・パセリ 大さじ2 |
注 1tl = 1 theelepel (5ml), 1 el = 1 eetlepel (15 ml) |
豚肉を焼き色がつくまでいため、そこにマッシュルーム、赤たまねぎを加えてさらに数分間さっと炒める。マスタードとタイムをまぶし、塩・こしょうで味をととのえる。これを皿に盛って周りにトマトを飾ったミックスサラダの上にのせる。イタリアン・パセリをふりかけて出来上がり。お好みのパンを添えて。簡単でおいしい!
<素材についてのおしゃべり>
日本ではあまりなじみがなく、あっても高くてとても手がでないサラダ・ミックス。こちらではこれでもか、というくらいいろいろな組み合わせのものが売っています。気になるお値段の方も、人数の少ない家庭なら下手に野菜をまるまる買うより安いくらい。さらに、単品の野菜パックも種類が豊富で、versla 「マーシュ」、waterkers 「クレソン」、spinazie 「ほうれん草」(火曜日のレシピに登場)などなど、これもすべて「洗浄済み」、そのままお皿に盛って食べられます。
ミックス・サラダの名前に出てくる eikenbladsla というのはレタスの一種。レタスもたくさん種類があります。kropsla, rode sla, frisbi, lollo bionda, lollo rosa, eikenbladsla, ijsbergsla, frillice, batavia, romeinse sla, andijvie, krulandijvie, radicchio, veldsla, botersla…
サラダ同様、調理用の刻み野菜のパックもこれまたすごい数があります。スープ用、炒め物用、さらにはやきそば用、いう区別だけでなく、「タイ風」「フランス・プロバンス風」「日本風(次回登場、ご期待!)」「中華風」「マカロニ(パスタ)用」・・・・と延々と続き、それぞれ入っている野菜の種類が違う。肉も、細切になっていたり、角切りになったりしている。要するに、切ったり刻んだりする手間をかけずにすむようになっているので、上のメニューもオランダでつくれば、炒める時間のみで10分かからず。日本では、加工したものは極端に値段が高く、こういう素材を日常的に利用する、ということはちょっと考えられませんが、こちらでは一家の人数が少ないと結局このほうが安いし、時間の節約にもなって重宝。私たちの借りているアパートは冷蔵庫が50リットルと小さいので、かさばらずにいろいろな野菜が手に入れられるのもとっても助かっています。
火曜日 | ほうれん草添えパスタ |
Dinsdag | Spinazietortelloni |
http://www.albert.nl/main/opco/AH/recipes/recipe_popup.jsp?id=431364 | |
3 el olijfolie | オリーブオイル 大さじ1 |
2 rode uien, fijngesneden | 刻んだ赤たまねぎ 2個分 |
2 zakken spinazie (a 300g) | ほうれん草 2パック |
2 bakken koelverse tortelloni met kaas en noten (a 250g) | チーズとナッツ入りトルテローニ・パスタ 2パック |
2 teentjes knoflook, uitgeperst | にんにくのすりおろし 2かけ分 |
1 el gedroogde oregano | オレガノ(乾燥) 大さじ1 |
250 ml Griekse yoghurt | ヨーグルト 250ml |
1 zakje walnoten (55g), grof gehakt | (くだいた)くるみ ひと袋 |
たまねぎを炒め、色がつくまえに、ほうれん草を数回にわけて加えていためる。パスタをパックの指示にしたがってゆでる。にんにく、オレガノ、塩、こしょう、ヨーグルトをまぜる。これを炒めたほうれん草にまわしかけ、二分間温まる程度に火をとおす。パスタとほうれん草を皿に盛り、くるみを飾ってできあがり。
<素材についてのおしゃべり>
日本でも最近よく使われるようになってきた赤たまねぎ(rode ui = 英 red onion)、こちらのレシピでも、炒め物にサラダにと大活躍。辛くないので、水にさらさなくてもそのまま食べられます。新たまねぎは zachte ui (= 英 soft/mild onion) 「辛くないたまねぎ」の名の通り、こちらは水にさらさずに食べてもOK。ピクルスなどにもつかわれる小たまねぎは sjallot(en) (英 shallot)。「エシャロット」を想像して探し回ったのに見つからず、ついにスーパーのお兄さんに尋ねるはめに。日本語でエシャロットと呼ばれるものは「根らっきょう」という違う種類の野菜なのだそうです。50年ほど前にはじめて日本で売り出すとき、おしゃれな名前にしなくては売れない!ということで、当時はまだ日本には入っていなかった小たまねぎのフランス語名をとったのだとか。
ui(en) | たまねぎ |
zachte ui(en) | 新たまねぎ |
rode ui(en) | 赤たまねぎ |
sjallot(ten) | 小たまねぎ |
水曜日 | ピリッと辛い具沢山の七面鳥入りコンソメスープ |
Woensdag | Heldere maaltijdsoep met kalkoen |
http://www.ah.nl/allerhande/recepten/recipe.jsp?title=Heldere+maaltijdsoep+met+kalkoen&id=431362&offset=0 | |
2 el olijfolie | オリーブオイル 大さじ2 |
350g kalkoenfilet, in reepjes | 七面鳥むね肉(細切り) 350g |
2 sjalotten, in dunne ringen | 小たまねぎ(薄い輪切り) 2個分 |
1 rode peper, in ringetjes | チリ(=生唐辛子)(輪切り) 1つ分 |
2 kruidenbouillontabletten | 固形スープ 2個 |
1 duopak krieltjes (700g), de grote krieltjes gehalveerd | 新ポテトのダブルパック 700g(大きいものは半分に切る) |
4 bospenen, in plakjes | 葉つきにんじん(薄切り) 4本分 |
1 struik paksoi, in reepjes | 葉やさい(細切り) 1株分 |
2 el munt, fijngesneden | ミント(みじん切り) 大さじ2 |
2 el peterselie , fijngesneden | パセリ(みじん切り) 大さじ2 |
七面鳥肉を薄いこげ色がつくまでいため、さらに小たまねぎとチリを加えて一分間炒める。水を1リットルと固形スープを加え、沸騰させる。ジャガイモを加えて10分、にんじんを加えてさらに5分火を通す。(ここで一端冷まして味を落ち着かせるとよりおいしくなる―報告者オリジナル。)最後に、葉やさいをくわえてスープ皿、もしくはボールによそいわけ、ミントとパセリをちらしてできあがり。新鮮なミントの味が意外なおいしさを添えてくれます。
<素材についてのおしゃべり>
葉やさい・・・ paksoi、英語で silverbeets と呼んでいる、茎が白くて葉がとても濃い緑の、白菜がおおきくワイルドになったような感じの野菜です。最近では日本でもときどき目にするようになりましたが・・・。日本語の名前がわかったら報告します。白菜や青梗菜で代用してもおいしいかも。
kriel(tjes)・・・ 春に収穫される小さいじゃがいも。言われてみれば確かに、ここのところずっと、チェリートマトくらいの大きさのジャガイモが店にならんでいる・・・
にんじん。にんじんも、bospeen, winterpeen, wortel, winterwortel・・・ と並びます。ピーターラビットがかかえている細い葉つきにんじんも、ちゃんと売っています!
木曜日 | たらとズッキーニとレモン・ライス、トマトサラダ添え |
Donderdag | Kabeljauwschotel met citroenrijst |
http://www.ah.nl/allerhande/recepten/recipe.jsp?title=Kabeljauwschotel+met+citroenrijst&id=431360&offset=0 | |
300 g witte rijst | 米 300g |
1 citroen, schoongeboend | レモン(きれいに洗ったもの) 1個 |
500 g kabeljauwfilet (diepvries), ontdooid | たら切り身(解凍) 500g |
1 courgette, in plakken | ズッキーニ(短冊ぎり) 一本 |
100 g geraspte jonge kaas | 熟成度の低いチーズ(おろしたもの) 100g |
2 el dille | ディル 大さじ2 |
4 el olijfolie | オリーブオイル 大さじ4 |
1 tl kappertjes | ケイパー 小さじ1 |
3 trostomaten, in plakken | トマト(うすぎり) 3個分 |
オーブンを170℃に熱しておく。たらの切り身にレモン汁の半分をふりかけ、さらに塩・こしょうで味付けする。その上に薄切りにしたズッキーニをのせ、チーズを降りかける。オーブンに入れて30分、焼く。
のこりのレモン汁とレモンの皮の削ったもの、ディルをオリーブオイル2さじと一緒に火にかける。沸騰したら、普通に炊いたご飯にまぶして、さましておく。トマトはたてに薄切りにし、ケイパー、ケイパーの漬け汁小さじ1、オリーブオイル小さじ2、塩、とまぶし、塩、こしょうで味を調える。魚に火が通ったら、平皿に、レモンライス、トマトサラダ、たらのチーズ焼きを盛る。
これもお味は◎。でも、レモンで味つけしたご飯は、日本では人によっては好き嫌いがあるかもしれません。
<素材についてのおしゃべり>
一般的にスーパーで買える魚の種類はあまり多くない。ここで出てくる kabeljaw というのは「たら」、ほかには zalm 「サーモン」, paling 「うなぎ」, haring 「にしん」, tonijn 「まぐろ」、tong 「舌ひらめ」、うーん、それくらいかなぁ。冷凍でも似たようなものです。ただし、市場に行くとカレイとひらめの種類はそれぞれものすごく多くてびっくり。
米 (rijst) の種類はたくさんあります。日本だと同じ丸いお米のなかに産地によっていろいろ名前がありますが、米の種類そのものがそもそもいろいろある。興味がある方は、以下のページも参考にしてください。説明は残念ながらオランダ語だけですが、いろいろな米の写真がみられて、興味のある方にはそれだけでも結構楽しめると思いますよ!
http://www.dekooktips.com/warenkennis/graan-rijst/rijst-soort.htm
長いお米は、沸騰したたっぷりのお湯に入れてそのまま8分ほどふっとうさせ、湯を切ったあと蓋をして10分ほど鍋のなかでねかせると、おいしくでき上がることを発見!日本では想像もできない米の調理法ですね。沸騰中にかき混ぜるとさらにおいしくできあがるお米もあります。
金曜日 | スモーク・チキンのトルティーリャ包み |
Vrijdag | Wraps met gerookte kip en avocado |
http://www.ah.nl/allerhande/recepten/recipe.jsp?title=Wraps+met+gerookte+kip+en+avocado&id=431358&offset=0 | |
2 el mayonaise | マヨネーズ 大さじ2 |
125 ml zure room | サワークリーム 125ml |
300 g gerookte kipfilet, in repen gesneden | スモークチキン(細切り) 300g |
1 rode ui, fijngesneden | 赤たまねぎ(みじん切り) 1個分 |
10 bospenen, in plakjes | にんじん(こまかい薄切り) 10本 |
3 el munt, fijngesneden | 刻んだミント(みじん切り) 大さじ3 |
1 eetrijpe avocade | 熟したアボカド 1個 |
1 limoen, uitgeperst | ライム(絞り汁) 1個分 |
1 bosui | ねぎ 1本 |
1 pak grote wraptortilla's (4 stucks) | トルティーリャの皮 1パック(4枚) |
マヨネーズとサワークリーム、チキン、たまねぎ、にんじんを混ぜて、塩・こしょうで味付けする。アボカドを細ぎりにしてライム汁をまぶす。ねぎは縦半分に切って適当な長さに切る。トルティーリャの皮を暖めて素材を包む。
<素材についてのおしゃべり>
スモークチキン。いわれてはじめて売っていることに気がついた。しかも、チキンの胸肉同様、パックに入って売っている。(色がすこし濃くて少し縮んでいますが、あとは生の胸肉パックとまったく同じにみえます。)オランダの燻製品は、味がしっかりしていてとてもおいしい。スモークチーズ、スモークサーモン、スモークパーリン(うなぎ)、スモークさば、といろいろ。
レシピには、アボカドが熟しているかどうかの見分け方も載っていました。日本では色でみわけることになっていますが、オランダではおへそを押してみて軽く動くようなら食べごろ、なのだそうです。メロンはお尻を押してみて食べごろかどうかを判断しますが、アボカドは頭を押すというわけね。
参考文献
AllerHande: het tijdschrift van Albert Heijn. no. 5 -2007.
http://www.ah.nl/allerhande/
<付記>
白アスパラガスの季節です。これでもか、というくらい、あちらこちらに白アスパラが売っています。フランスではじめて白アスパラガスをみたときに買ってきて大失敗したことがあるので、今回はちゃんと調理法を調べてみました。
白アスパラガスは緑のアスパラガスとちがって皮が繊維質で硬いので、まず、頭のさきを除くほとんど全体をピーラーでむきます。そして根のほうから3-4cmを切り落としたものを、7分ほどゆで、さらにそのままお湯に10分ほどつけたままにする、ということ。知っていれば何でもないことなのですけれどね。ゆでるときには、塩、砂糖、それにハーブの一種 (foelie, 英 mace) をいれることになっていますが、何も入れなくてもおいしく茹で上がります。日本でも最近、大手のスーパーでみかけるようになったので試してみてください。ゆでたアスパラガスは、そのままバターソースで、またはハムやポテトなどといっしょに温製サラダにしてもおいしいですよ~。
スーパーの棚には、いろいろな野菜パックがずらり。右下に見えているクリーム色のパックは、ジャガイモのパック。皮をむいていろいろな形に加工してある。 |
左上から豆類、カリフラワー、にんじんなど火を通す野菜をいろいろな大きさに切ったもの、下はほうれん草、クレソン、マーシュなど、色の濃い葉やさいのパック。 |
炒め物用野菜のパックにもいろいろあります。写真はほんの一部。 |
左はマッシュルーム炒め野菜パック、右は月曜日のメニューで使用したサラダ・ミックスのパック。 |