もてなしのかたち(2) ─ チャーイの作法 ─
|
インド、ことに北インドで客のもてなしに不可欠なのが乳で煮出し、砂糖をたっぷり入れた紅茶、チャーイである。どんな家庭でも客にはまずチャーイを振る舞う。
チャーイは主客をつなぐ大事な仕掛けだ。振る舞い方にはそれなりの作法がある。その一つが、チャーイの前に必ず水を出すということ。経験上、これはインドのどこでも同じで、まずグラスたっぷりの冷たい水が出る。水とチャーイで冷・熱のバランスを取り、腹を落ち着かせるというのがその理由とされるが、水が必ず先でないといけない。その裏にはどうも、その家の水が良き水であり、客人に害を与えるなどの他意がないことをまず示すという意味があるようだ。客の腹への配慮といい、一杯のチャーイの振る舞いにも精妙な気遣いが込められている。
国立民族学博物館 三尾 稔
チャーイは主客をつなぐ大事な仕掛けだ。振る舞い方にはそれなりの作法がある。その一つが、チャーイの前に必ず水を出すということ。経験上、これはインドのどこでも同じで、まずグラスたっぷりの冷たい水が出る。水とチャーイで冷・熱のバランスを取り、腹を落ち着かせるというのがその理由とされるが、水が必ず先でないといけない。その裏にはどうも、その家の水が良き水であり、客人に害を与えるなどの他意がないことをまず示すという意味があるようだ。客の腹への配慮といい、一杯のチャーイの振る舞いにも精妙な気遣いが込められている。
国立民族学博物館 三尾 稔
毎日新聞夕刊(2006年12月13日)に掲載