旅・いろいろ地球人
暖をとる
- (4)インドの寒い夜 2010年1月6日刊行
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上羽陽子(文化資源研究センター助教)
早朝、紅茶を用意するインドは暑い国というイメージがあるかもしれない。しかし、インド北部では雪が降るし、乾季になると毛布が必要な地域も多い。
私の長年の調査地、インド西部の乾燥地帯も雨季を終え、乾季を迎えるころになると、昼間は半袖、夜は毛布を羽織っても寒い季節となる。
薪を囲んでの楽しみは葉巻きタバコと談笑だ。いつもは無口な男性もこの時ばかりはおしゃべりになる。
薪にはこの地域で生育するバーワルと呼ばれる植物がもってこいだ。するどい棘(とげ)をもち、乾燥地でも生育が早く、木炭つくりにも用いられている。
寒さに震えながら目を覚ますと、ポキポキと炎にバーワルをくべる音が聞こえる。寒さに震えながらじっとりと湿った毛布を身にまとい、搾りたてのラクダの乳で作った紅茶で身体を暖める。この瞬間は至福の時である。
どこに行っても生えているバーワルのおかげでこの地域では薪の心配が無い。シリーズの他のコラムを読む
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