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異文化を生きる
- (3)手話は言語 2020年11月21日刊行
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飯泉菜穂子(国立民族学博物館特任教授)
筆者が主催した「みんぱくで手話言語学を学ぼう!2019」=大坂府吹田市の国立民族学博物館で2019年12月、事務局記録写真
手話は手の「形・位置・動き」というそれぞれは意味を持たない最小単位を組み合わせることで沢山の語彙を作り出し、その語彙をルールに則って連ね・活用することで文を創出する。有限個の最小単位を使って無限の文・文章を作ることが出来るという意味で、音声言語と同等の構造を持つ言語である。また、視覚言語である手話には手には表れない重要な要素がある。眉・目(線)・頬・口(口形・舌)・肩などの動かし方などが文法として機能しているのだ。
手話による談話のスタイル(戦略)は、手話が視覚言語であることや手話話者の行動様式とも連動していると思われる様々な特徴を備えている。例えば、主題を文頭で示すことを好むとか、質問にはまずイエス・ノーをはっきり伝えた後に理由を付加して述べる必要があるとか、表現は抽象よりも具体を得意とし出来事を時系列に沿って詳述する傾向があるとか、数え上げればきりがない。
聴者の学習者がネーティブ並みに使いこなせるようになるには相当な努力が必要だ。ほんの数分程度のネーティブの手話動画を分析的に見るだけでも、ネーティブの手話の巧みさに舌を巻き、学習者としての自分の手話力の限界を知ることになる。つまり、手話を学ぶということは、一つの外国語を習得することとなんら変わらないことなのだ。
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