韓国人と仲良くなるには、どうすればいいか。韓国人たちがよく言うことには、「ともに飯を食べ、酒を飲み、一緒に寝ること」だそうだ。家に泊まれというのである。
ただ、そう言われても、日本人の私は最初のころ随分と遠慮をした。酒臭い状態で、真夜中に突然、よく知りもしない人様の家に上がり込むなんて! 第一、自分の宿所にだって帰れるのに、だ。帰って眠った方が落ち着くし、翌日の予定も楽。はっきり言って、お断りしたいお誘いだった。
だが、こうした無駄な外泊を何度かくり返すうち、やはりこれが韓国人と仲良くなる最良の方法なのだと、気が付いた。相手の部屋を眺め尽くし、家族とも知り合えば、交わす話題も広がり、互いの距離は近づくのだ。
どこの国でも、話題を共有することは人と仲良くなる最短コースだ。それに加え、人と仲良くなるためには、何らかの無駄を共有してみることも有効。ならば、出会った相手と素早く無駄を共有してしまうことは、効率よく人とつきあう手立てだとも言える。
せっかちな国民性の韓国人は、初めて会った人にでも、泊まっていけと足止めをする。そうすることで、交流を効率的にリードしてくれているのである。
シリーズの他のコラムを読む
-
(1)正直者の父 樫永真佐夫
-
(2)新発見のきっかけ 印東道子
-
(3)自然のリズム 林勲男
-
(4)今夜は泊まれよ 太田心平
-
(5)乾期に慈雨 久保正敏
-
(6)この夏の空港にて 横山廣子
-
(7)アマゾンへのあこがれ 中牧弘允