旅・いろいろ地球人
暖をとる
- (2)家に帰ったら、床にへばり付こう 2009年12月9日刊行
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太田心平(研究戦略センター助教)
韓国の冬を暖める床と布団と内服韓国生活の初期、最も困ったのは敷布団のことだ。薄いパッドを床にじかに敷くのが一般的で、体が痛くて寝た気がしない。なぜ分厚いものを使わないのか、理解にも苦しんだ。
この謎が解けたのは冬。床暖房の上に敷く布団は、薄い方がむしろ温かいのだ。日本で「オンドル」と呼ばれる、韓国名物のあの床である。
ただ、韓国ではあれを一概にオンドルとは呼ばない。オンドルは普通かまどの煙を床下に伝わせる設備のことで、現在一般的なガスの床暖房は「床暖房」というし、それを使うことも「ボイラーをつける」と言う。
ほとんどの家で床暖房は家の全面に設置してある上、留守中も「外出モード」でつけっ放す。よって室内は常に暖かく、真冬でも部屋着は夏服という人や、一年を通して蚊が絶えない集合住宅すらざらである。
だが、ここにもエコが叫ばれるようになった。公共広告は2点を勧めている。ボイラーの設定温度を下げることと、昔から「内服」と呼ばれてきた防寒用の下着を室内でも脱がないことだ。
ソウルの冬は厳しい。温暖化が進む昨今でも、最低気温は零下15度以下になることがある。私は凍(い)てつく街から家に帰ると、すぐ内服姿になって床に張りつく。布団も服も、床との蜜月を邪魔しないものがよい。シリーズの他のコラムを読む