フォーラム型情報ミュージアムプロジェクト
人類は、世界各地でさまざまな道具や儀礼具、建造物、歌や踊り、口承伝承などを創り出してきた。ところが、1980年代以降のグローバル化の急激な進展によりそれらの多くは消滅の危機に陥っている。このため、人類の文化遺産としての民族文化の継承と創造の問題についてグローバルな視点から取り組む必要がある。
国立民族学博物館は、開館以来40年にわたり世界の民族文化を研究し、多様な民族資料とそれらに関する情報を集積してきた。有形・無形の資料やそれらに関する情報を「人類の文化資源」として同時代の人々と共有し、かつ後世に伝えることが喫緊の課題であると考える。
本プロジェクトでは、国内外の研究機関や大学、博物館および現地社会と連携しながら本館および連携機関が所蔵する多様な文化資源について国際共同研究を推進し、その成果を個々の文化資源に関する基礎情報に加味して記録化するとともに、フォーラム型情報ミュージアム(多言語によるフォーラム機能をもつマルチメディア対応のデジタル・アーカイブズ)から発信する。
本プロジェクトは、(1)特定の文化資源に関する国際共同研究の実施とその成果のコンテンツ化・多言語化および(2)フォーラム型情報ミュージアムのシステム構築とその運用からなる。
本プロジェクトを推進することによって、国内外の機関間連携による収蔵資料の世界規模での共有化・共同利用化を実現でき、研究・教育や文化伝承・創造、情報収集のために研究者のみならず、文化伝承者や一般市民までもが利用できるようにしたい。
開発型プロジェクト(4年以内)
- アフリカ資料の多言語双方向データベースの構築(2017.4-2021.3):飯田卓
- 中央・北アジアの物質文化に関する研究―民博収蔵の標本資料を中心に(2018.4-2022.3):寺村裕史
- 海域アジアにおける人類の海洋適応と物質文化――東南アジア資料を中心に(2019.4-2022.3):小野林太郎
研究期間が終了した開発型プロジェクト(4年以内)
- 北米先住民製民族誌資料の文化人類学的ドキュメンテーションと共有(2014.6-2018.3):伊藤敦規
- 台湾および周辺島嶼生態環境における物質文化の生態学的適応(2015.4-2019.3):野林厚志
- 民博が所蔵するアイヌ民族資料の形成と記録の再検討(2016.4-2020.3):齋藤玲子
強化型プロジェクト(2年以内)
- ミクロネシア文化資料のフォーラム型データベースの構築――20世紀前半収集資料を中心として(2019.4-2021.3):林勲男
- 時代玩具コレクションの公開プロジェクト(2019.4-2021.3):日高真吾
- 津波の記憶を刻む文化遺産-寺社石碑データベースのフォーラム型情報ミュージアムへの改良(2020.4-2022.3):日高真吾
- セネガルにおける諸民族文化の映像記録を題材とする情報強化(2020.4-2022.3):三島禎子
- データベース「焼畑の世界―佐々木高明のまなざし」の国際化と学際研究の展開(2020.4-2022.3):池谷和信
研究期間が終了した強化型プロジェクト(2年以内)
- 「朝鮮半島の文化」に関するフォーラム型情報ミュージアムの基盤構築(2014.6-2016.3):朝倉敏夫
- 徳之島の民俗芸能に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築(2014.6-2016.3):福岡正太
- 民博所蔵「ジョージ・ブラウン・コレクション」の総合的データベースの構築(2014.6-2016.3):林勲男
- 北米北方先住民の文化資源に関するデータベースの構築に関する研究―民博コレクションを中心に(2016.1-2017.12):岸上伸啓
- 中国地域の文化展示のフォーラム型情報ミュージアムの構築(2016.4-2018.3):横山廣子
- 日本民族学会附属民族学博物館(保谷民博)資料の履歴に関する研究と成果公開(2016.4-2018.3):飯田卓
- 楽器に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築(2016.4-2018.3):福岡正太
- 日本の文化展示場関連資料の情報公開プロジェクト(2016.4-2018.3):日高真吾
- 中東地域民衆文化資料コレクションを中心とするフォーラム型情報データベース(2017.4-2019.3):西尾哲夫
- 朝鮮半島関連の資料データベースの強化と国際的な接合に関する日米共同研究(2017.4-2020.3):太田心平
- 中南米地域の文化資料のフォーラム型情報データベースの構築(2018.4-2020.3):八木百合子
- 民博所蔵「朝枝利男コレクション」のデータベースの構築――オセアニア資料を中心に(2018.4-2020.3):丹羽典生
- ネパールのガンダルバ映像音響資料に関する情報共有型データベースの構築(2018.4-2020.3):南真木人
フォーラム型情報ミュージアムプロジェクトデータベース
- 中東地域民衆文化資料データベース
- 本データベースは、国立民族学博物館が所蔵している中東・西アジア関連資料のうち、片倉もとこ本館名誉教授が収集したアラビア半島遊牧社会資料、ジェイ・グラック氏が収集した近現代イラン民衆工芸品資料、標交紀(しめぎゆきとし)氏が収集したコーヒー関連資料をデータベース化したものです。
- 北米北方先住民関連文化資源データベース
- 本データベースは、国立民族学博物館が収蔵している約3000点にのぼるアラスカ(アメリカ)とカナダ、グリーンランドの先住民に関連する標本資料の基本情報をデータベース化したものです。
- 日本の文化展示関連情報データベース
- 日本の文化展示関連情報データベースは、国立民族学博物館本館展示場の「日本の文化」で展示している資料に関連するデータベースです。
このデータベースでは、資料分類と展示場分類から資料検索がおこなえます。
- ジョージ・ブラウン・コレクション
- このデータベースは、宣教師であり神学博士でもあるジョージ・ブラウンが、19世紀後半から20世紀初頭にかけての南太平洋諸島において、メソジスト教会の伝道のかたわらに収集した民族誌コレクションである。国立民族学博物館は、1985年と1986年にニューキャッスル大学からこのコレクションを購入した。
- 台湾および周辺島嶼の物質文化
- プロジェクトで調査、研究を進めてきた台湾関連資料について、日本語、中国語、英語の3言語で閲覧、検索等が可能なデータベースを公開する。生活用具、衣服、工芸品が主な内容であり、検索用語はフリーワードを基本としつつ、原住民族名、資料名の索引も備えており、原住民族研究にたずさわる研究者だけでなく、一般市民やソースコミュニティの人たちの使用にも配慮している。また、スマホやタブレットでの閲覧、検索に適した画面構成を意識したデザインをとり、将来的にさらに発展すると考えられる携帯端末での利用普及もねらいとしている。
- 徳之島の唄と踊り ※IDおよびパスワードは当分の間関係者にのみ配布しています。
- このデータベースは、徳之島に伝えられる民俗芸能の映像記録を蓄積し、伝承や研究に役立てることを目的としている。撮影は、徳之島町、伊仙町、天城町の関係者ならびに各集落の方々の協力を得て、2010年から2016年にかけておこなわれた。地図上で集落を選択すると各集落で演じられた芸能を視聴できるほか、徳之島の環境や歴史を知る手掛かりとなる風景や集落誌を見ることができる。
フォーラム型情報ミュージアム資料集
- 財団法人日本民族学協会附属民族学博物館(保谷民博)関係人名の研究
- 飯田卓 編
表紙
- 天理大学附属天理参考館収蔵24点の「ホピ製」資料熟覧
ソースコミュニティと博物館資料との「再会」2 - 伊藤敦規 編
表紙
- 国立民族学博物館収蔵186点の「ホピ製」資料熟覧
ソースコミュニティと博物館資料との「再会」3 - 伊藤敦規 編
表紙
- 北アリゾナ博物館収蔵446点の「ホピ製」銀細工および関連資料熟覧
ソースコミュニティと博物館資料との「再会」4 - 伊藤敦規、キャシー・ドーハーティ、ケレイ・ハイズ=ギルピン 編
表紙
- Collections Review on 38 Silverworks Labeled "Hopi" in the Denver Museum of Nature & Science
Reconnecting Source Communities with Museum Collections 5 - Edited by Atsunori Ito, Candice Lomahaftewa, and Chip Colwell
表紙