旅・いろいろ地球人
伝統と電灯
- (4)小さな水力発電と森の民 2012年3月29日刊行
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信田敏宏(国立民族学博物館准教授)
水は右側から流れ込み、小屋の中にある発電機を動かし、再び小川に流れ出ている森を流れる小川をせきとめ、小さな「ダム」を作り、そこから水を下流に引き、水流の勢いを利用して発電機を動かす。これはマレーシアの先住民の村に導入されているNGOのプロジェクト、マイクロ水力発電である。
文字通り小規模な水力発電であり、生活に必要な最低限の電力しか賄えない。そのため、省エネ効果の高いLED電球も導入された。
これまで、遠隔地の村では、ガソリンを使った小型の発電機が利用されてきた。しかし、現金収入の少ない彼らにとってガソリン代は大きな負担になっている。マイクロ水力発電の導入には、経済的効果も期待できそうだ。
このプロジェクトは、未来を見据え、再生可能エネルギーの持続的な利用を目指している。また、水力発電の維持・管理を通して、村びとに森林環境の保全に関心を持ってもらうことも大きな目的としている。
先住民の村びとは、昔から自分たちが使う分だけ自然界から資源を得て生きてきた森の民である。これからも森を守りながら、必要な分だけ自然界から電気を得て暮らしていくだろう。今こそ、私たちは、彼らの暮らしをヒントに、エネルギーの未来を考えるべき時ではないだろうか。
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